鈴木 ひろかさん(航海士)

東京海洋大学大学院 海洋科学技術研究科 卒業

 ① 今のお仕事はどのような業務ですか。

現在、オイルケミカルタンカーでC/Oのアシスタント業務をしています。書類作成全般、荷役・タンククリーニング・メンテナンス計画及び実行等を行っています。特に気を遣うのは、Stowage Planの作成とタンククリーニングです。他には、クルーの安全を守ったり、船員教育をしたりしています。今回は乗船中にドライドックにも入りましたので、事前準備やクルーへの指示、検査等、非常に勉強になる事ばかりでした。C/Oに昇進する為、書籍等でも勉強しておりますが、実践しないと学べない事が沢⼭あるので、今後も励んでいきたいと思っています。⾮常に責任のある仕事ばかりですが、そこに遣り甲斐を感じています。海上/陸上勤務の割合に関しては、弊社の場合は個々で決まります。人事担当者が各々に聞き取り調査を行い、その意向によって調整します。私の場合は「もっと海上勤務をして経験を積みたい」という旨を伝えてあるので、陸上勤務未経験です。

② なぜ、今の会社へ入社したのですか。

皆さんと同様、私も将来について悩みました。私の場合は、海運会社から物流会社、メーカー、研究所等、多種多様な業界を調べ、説明会に参加したり実際に訪問したりしました。そういった中で、本当に海運業界が好きである事が再認識出来たと思います。方向を絞った中で、⽇本では珍しいケミカルタンカーに特化した弊社を選びました。

③ 職場はどのような雰囲気ですか。

 混乗船で外国⼈の割合が多いです。特にフィリピン⼈クルーが多く、明るい雰囲気の中で仕事をしております。クリスマスや年末年始、クルーの誕⽣⽇にはお祝いをする風習があります。国や出⾝地・出身地方による⽂化や考え⽅の相違も勿論ありますが、それを理解し、クルー同士を取り持てるような努⼒をしています。

④ 入社して大変だったことはありますか。

オイルケミカルタンカーは、非常に特殊で⼤変な船種だと思います。港間の航海距離が短かったり、荷役するバース数が多かったりします。スケジュールが忙しく、離着岸作業が多く、狭水道や輻輳海域を通る事も多いです。乗船実習にはない、荷役作業や多忙なスケジュールに慣れる事が、最初は⼀番⼤変だと思います。初めての乗船では分からない事ばかりだと思いますが、次第に慣れていきますし、積極的に作業をしていけば早く身に付くはずです。

⑤ コロナ禍で大変だったことはありますか。

コロナの影響を受けた事は沢山ありますので、そのうちのいくつかを紹介致します。まずは乗下船が複雑になった事です。弊社の場合は外国から乗船する事が多いので、陰性証明書の書式や隔離期間等、その国独自の規則に従わなければなりません。また、配乗管理が以前より難しくなった関係で、乗船期間延長になる傾向があります。クルー全体が、そういった事情を理解していますので、お互いに励まし合い、気遣って生活をしています。港湾では一般的に、荷役関係者が乗船してくるのですが、その都度消毒を行ったり、パーテーションを設置したり、進入禁止区域を広げたりしました。港によっては荷役関係のミーティングを外で行う所もあります。

⑥ 今後の展望や目標はありますか。

更に経験を積み、知識を付け、C/Oになる事が直近の⽬標です。C/Oアシスタントをしていると、⾃分の知識と経験が不⾜している事を思い知らされます。C/Oの仕事は忙しく責任も重いですが、クルーと協⼒しながらより良い雰囲気で仕事が出来るようになりたいです。

⑦ 後に続く後輩たちへのアドバイスをお願いします。

後輩の皆さん、海上での職務は⾮常に特殊です。特に初めての乗船時には⼤変な事が多いかと思いますが、常に⽬標を持って⾃分で考え⾏動出来るよう、頑張って下さい。不安な事や疑問は上司に打ち明け、解決していくと良いと思います。多忙な⽇々におけるストレス対策も忘れず、時には家族や友⼈に⽀えて貰いましょう。自分と仲間を大切に、そして周囲の⽅々に感謝しながら、仕事と上⼿く向き合って下さい。

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